AI経営の最強ツール、VertexAIとは?

私は2025年4月9日から3日間、米国ラスベガスのMandalay Bay Convention Centerで開催されたGoogle Cloudの最大イベントNext 25に参加しました。1日目の基調講演で、Google Cloudのトップ Thomas Kurianがほぼ半分の時間を割いてプレゼンテーションを行ったのが、Google CloudのAIのソリューション、VertexAIでした。それくらい、Googleが本気で力を入れているのがこのVertexAIです。

1. Vertex AIへの期待と共感:最強のAIツール

生成AIはまさに21世紀の”破壊的イノベーション”です。生成AIによって確実にいつくかの職種や業界は無くなるでしょう。実際、生成AIの登場によって、中小のコンサルティング会社の倒産が増加しているようです。

これからAIによって破壊される側になるか、破壊する側になるか、今はまさにその分水嶺の時期です。破壊される会社にならないためにはAIの活用は避けて通れない経営課題です。市場の変化は速く、毎日のようにAIツールのアップデートがあり、そのトレンドに追いつきながら、データに基づいた迅速な意思決定で競争優位を確保する時代。しかし、

「AI専門の人材が社内にいない」

「どのAIツールを選べば良いのか、専門的すぎて判断が難しい」

「AIモデルを開発しても、実際の業務にどう活かせばいいのかイメージが湧かない」

「高額な初期投資や運用コストが懸念される」

といった声は、多くのビジネスリーダーが抱える共通の課題ではないでしょうか。Google CloudのVertex AIは、まさにこうした課題に応え、AI活用のハードルを下げ、より多くの企業がAIの恩恵を受けられるように設計されたプラットフォームです。Googleが総力を挙げて開発を進めるVertex AIが、貴社のビジネスにどのような変革をもたらすのか?

2. Vertex AIとは?その特徴を徹底解説

Vertex AIは、生成AIのプロンプト開発からAIAgent開発、機械学習(ML)モデルの構築からデプロイ、管理まで、AI開発のライフサイクル全体をカバーする統合AIプラットフォームです。特筆すべきは、初心者から専門家まで、あらゆるスキルレベルのユーザーがAI開発に取り組めるように設計されている点です。

以下に、Vertex AIの主な特徴を解説します。

統合的なAI開発環境:ワンストップでAI活用を実現

Vertex AIは、データ収集・準備、モデルのトレーニング、評価、デプロイ、そして本番環境でのモニタリングまで、AI開発に必要なあらゆるツールとサービスを一つのプラットフォーム上に集約しています。これにより、従来は複数のツールを使い分ける必要があった複雑なプロセスを簡素化し、開発効率を大幅に向上させます。

高価なTreasureDataなどのCDPやDataRobotなどのMLOpsのツールは、VertexAIを導入することで安価にしかもより高性能な仕組みに代替することができます。

生成AIのプロンプトエンジニアリング: 話題の生成AI(例:文章作成、画像生成)を簡単に試すことができます。直感的なインターフェースでプロンプトを調整し、すぐに結果を確認できるため、アイデアの検証が迅速に行えます。

機械学習モデルの構築:

AutoML: コーディングの知識がなくても、GUI操作だけで高精度なカスタムAIモデルを構築できます。画像認識、表形式データ予測、自然言語処理など、多様なタスクに対応しています。

カスタムトレーニング: PythonやTensorFlow、PyTorchといったフレームワークを使い、より専門的な知見を活かして独自のAIモデルを柔軟に開発することも可能です。Googleが提供する高性能なインフラを利用して、大規模なモデルのトレーニングも効率的に行えます。

AI Agentの構築: 「Vertex AI Agent Builder」のようなツールを用いることで、顧客対応チャットボットや社内業務を自動化するAIエージェントなどを、より簡単に開発・デプロイできるようになります。これにより、業務効率化や顧客満足度向上に直結するAIソリューションの実現が加速します。

Googleの最先端AI技術へのアクセス

Vertex AIは、Googleが誇る最新かつ高性能なAIモデル(例:Geminiファミリー)を容易に利用できる仕組みを提供しています。これにより、企業はいち早く、世界最高水準のGoogleのAI技術を自社のサービスや製品に組み込むことが可能になります。

Google Cloud Nextでの圧倒的な注目度:Googleの本気度が伺える

冒頭でも触れましたが、2024年4月のGoogle Cloud Nextにおいて、Google CloudのCEOであるトーマス・クリアン氏が基調講演の大部分をVertex AIに割いたという事実は、Googleがいかにこのプラットフォームに注力しているかがうかがえます。これは、Vertex AIがGoogleのAI戦略の中核であり、今後も継続的な機能強化やサポートが期待できることの証左です。ビジネスリーダーの皆様にとっては、長期的な視点で安心して投資できるプラットフォームであるという信頼感につながります。

従量課金制:無駄なコストを抑え、スモールスタートも可能

Vertex AIの料金体系は、基本的に使った分だけ課金される従量課金制です。CPUやGPUの使用時間、ストレージ容量、APIの呼び出し回数など、実際に利用したリソースに応じて費用が発生するため、固定費を抑えたい企業や、まずは小規模なプロジェクトからAI活用を試したい企業にとって、非常に魅力的なポイント。これにより、初期投資のリスクを最小限に抑えつつ、AI導入の第一歩を踏み出すことができます。

3. BigQueryとの連携:

多くの企業がデータウェアハウスとして利用しているBigQueryとVertex AIは、非常に密に連携しています。BigQueryに蓄積されたデータを直接Vertex AIで活用し、モデルのトレーニングや予測を行うことができるため、データパイプラインの構築が大幅に簡素化され、迅速なAI開発が可能になります。

AmazonやAzureにもAIの仕組みはありますし、Difyのような独立系のAIツールもありますが、BigQueryを利用している企業ならVertexAIを採用するのがおすすめです。

まとめ.Vertex AIで、AIドリブンな経営を実現する

Google Cloud Vertex AIは、単なるAI開発ツールではありません。それは、企業のAI活用を加速し、データに基づいた意思決定を可能にし、そして最終的にはビジネスそのものを変革するための強力なエンジンです。

  • 誰でもAI開発に取り組める統合プラットフォーム
  • Googleの最先端AI技術への容易なアクセス
  • 無駄のない従量課金制によるコスト効率の良さ

これらの特徴は、AI導入を検討されているビジネスリーダーにとって、大きな魅力となるでしょう。Google Cloud Nextでの注目度が示すように、Vertex AIはGoogleCloudのAI戦略の核であり、今後もその進化は止まりません。

AIの力を活用して、業務効率を飛躍的に向上させたい、新たな顧客体験を創造したい、そして競争の激しい市場で一歩先んじたいとお考えの経営者の皆様、ぜひVertex AIの導入をご検討ください。まずは小規模なPoC(概念実証)から始め、その効果を実感してみては。Vertex AIは、貴社のビジネスがAIドリブンな未来へと舵を切るための、最強のツールとなるはずです。

より詳細な情報や具体的な導入支援については、Google Cloudの公式サイトをご覧いただくか、専門のパートナー企業にご相談されることをお勧めします。Vertex AIと共に、新たなビジネスの可能性を切り拓きましょう。

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この記事を書いた人

Rasenのアバター Rasen 代表取締役|コンサル

大企業でGoogleCloudを活用したAIとマーケティングコンサルをやっています。自分でAIの会社も経営しています。

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